黒歴史現在完了進行中(仮)

自由帳みたいなもの

ポーカーフェイスと口三味線

ここだけの話、僕はとても正直で素直な人間である、と書いたところで誰が信用するのだろうか、と思わないでもないのだけれど、こちらとしてはそう言い張っておきたいところである。まずすぐに顔に出るのである。嘘吐くときも、うれしいときも、腹が立って仕方がないときも、それはまあ素直に表情に表れてしまう。表情の出ない人のことをポーカーフェイスとはよく言ったもので、昔からポーカーが弱かった僕はむしろ大げさに感情を示すことで、ブラフを決めることにしたのだが、そこにしてようようやっとスタートラインに立てたものだ。ギャンブルにもいくつか種類があるが、こうした心理戦と呼ばれる類のギャンブルは大の苦手で、圧倒的な力量の差がある相手ではない限り、ボロボロに負けてしまう。こうした心理戦というのはギャンブルのみならず、社会の中でも様々な戦いが水面下で行われており、そうした機微をいちいち嗅ぎ取ってしまうと、どうあがいても勝てないというのもあって、うんざりする。だからといって負けっぱなしというのもいささか困りものなので、いかに戦わずして、負けないかということを常日頃から考えている。しかし、時にはリスクを取ってでも、勝ちにいかなければいけない場面というのが存在するわけで、そういうときは決まって大見得を切ってみるのだが、そうした敗戦の記憶が積み上げられていくうちにそれもやめた。だから今はあえて素直にふるまおうとしている節すらある。結局、嘘やら欺瞞というのはばれたらまずいと思った時点で負けのわけで、嘘吐きというのはばれても問題ない嘘しかつかないか、自分自身でそれを本当だと思い込むという技術を持っているかのどちらかだ。後者に至ってはもうそれは病気でしかないわけで、それは避けたい。となれば前者になろうとするわけなのだが、それはそれで数が増えるにしたがって、処理できなくなるから、最終的にもっとうまい嘘のつき方は本当のことを言わない、ということに尽きてしまうのである。大体すべてのことをぼんやりとさせておく。グレーゾーンを好む、実に日本人らしい考え方で、またそれができるようになるということが大人になるということのようにも思える。とまあ、こういう薄汚い話も平気で書けてしまうあたり、僕は本当に素直で要領が悪いのだろうなあ、などと自戒するわけなのである。